うつくしまふくしまブランド酒 「夢の米・夢の酒」福島県酒造協同組合独自酵母「うつくしま夢酵母」
県内のみの限定品として生産された新しい日本酒を皆さんはもうご存知でしょうか?
福島県が独自に開発した酒造好適米「夢の香」を使用した「夢の米・夢の酒」ブランドの新しい日本酒。
酒どころ福島県に誕生した全国に誇る新たな逸品です。
東北地方南端、福島県は浜通り・中通り・会津の3地方があり、個性的な気候風土に溢れた大自然の恵みをうけて、さまざまな地場産品が作り出されてきました。昔から日本酒の名産地として全国に名高い福島県内には、多くの蔵元がその腕を競い合い、様々な銘柄が作り出されています。伝統と人の技に裏付けられた福島の酒があります。
県内の酒造りにかかわる人々の長年の夢であった、ふくしまブランドの酒造好適米「夢の香」の誕生。
「うつくしま夢酵母」との出会い。
そして福島県の豊かな大自然の恵みをうけた清冽な水と、蔵元に受け継がれてきた酒造りの技が作り上げた日本酒は、人々の心に香るやさしい夢のような味わいを醸し出しています。
夢の米、夢の酒コンセプト
このお酒は、日本酒主要産地としての福島県の復建と、福島県が膨大な予算と時間を費やして開発した酒米「夢の香」の普及を目的に造られた、コンセプト商品です。
我々蔵元ができることは、良い酒を造ること、そして福島の特徴である、豊かな自然と多様な個性を生かした、地元の産品を提供することです。この目的を達成する第一歩として、まずは福島県民が誇りをもって勧めることができる商品を目指して、きびしい自主基準を設け、わかりやすく、各蔵元の個性を生かし、福島県の恵み(夢の香、うつくしま夢酵母、など)をふんだんに使用しました。
酒造り適米「夢の香」
「夢の香」は、従来の「五百万石」より優れた品種を開発するために、福島県農業試験場において、平成3年に八反錦1号を母に、出羽燦々を父として人工交配を実施し、その後の優良個体や系統の選抜を行い、10年の歳月と莫大な費用を増やし、各種の特性を調査しながら育成されました。「夢の香」は五百万石同様の心白を有しかつ同等の大粒米であり、吸水性がよく醪で溶けやすい軟質米です。
うつくしま夢酵母フルーティな香と、華やかで酸味の少ないソフトな味わいを作り出す独自酵母
酵母開発は、研究者たちの間でも大きな夢の一つ
酒造りに欠かせない「酵母」は、もともと各酒蔵の空気中に存在していました。戦前の日本酒は、ほとんどどこの「家付酵母」と呼ばれていた野生の酵母によって造りあげられていたのです。そのため、各醸造蔵それぞれの蔵癖をもった様々な味を楽しむことができました。
戦後、酒造りの近代化が進むと同時に、国や県の研究機関、あるいは大手企業が開発した酒造用酵母が広く使用されるようになり、それにより日本酒は全国的に平均的な品質のものが仕上がるようになってきました。
それはかつて「蔵癖」と呼ばれたその蔵元独自の特徴が失われつつあることの現れでもあったのです。
品質の良い、福島県独自の酒用酵母開発は、研究者たちの間でも大きな夢の一つでしたが、けれども新たな開発には長い年月と多くの費用が必要になってくるため、実現するまでには至りませんでした。
本県初めてのオリジナル酵母の開発
しかし、昭和63年から4年間にわたり国と県から大型予算を受け、酒造工程の近代化についての研究プロジェクトチーム「地域システム技術開発事業」を立ち上げました。そしてその中の研究テーマの一つに、本県初めてのオリジナル酵母の開発があったのです。
福島県酒造組合の事業の一環として、福島県ハイテクプラザ会津若松技術支援センターの醸造食品科がニューバイオテクノロジーを駆使して開発し平成3年にようやく「F7-01酵母」が完成しました。
一口に酵母と言いますが、その種類は数千にも及びます。現在使われている清酒酵母だけでも数十種にも及びます。最初に10日程かけて液体培養をし、麹を入れて培養して候補を選ぶのに一カ月、そこからさらに数カ月かけて実際に日本酒を仕込んでみて、始めてその酵母が日本酒を醸造するのに適しているのかが解ります。
約千種の酵母から、醸造するまでに至ったのは10種程度。
その中の一つが「F7-01酵母」でした。
この酵母を使って造られた酒は、他のものと比べ、酸が少なく非常に好い香をもっていました。
福島県知事命名による「うつくしま夢酵母」の誕生です。
「うつくしま夢酵母」は特有のフルーティーな香り、華やかで酸味の少ないソフトでマイルドな味わいを造り出します。
煌酵母が出来るまで
平成3年 | 「うつくしま夢酵母(オリジナル第1弾)」誕生 低酸性で、発酵力が強めの酵母 香りはバナナ・メロン系 現在も純米酒などに広く使われている |
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県内酒造メーカー・酒造組合からの要望 | -清酒鑑評会用の出品酒などにも使用できる香りの高い吟醸用酵母が欲しい!- |
平成15年 | 新酵母の開発に着手 イチゴ・リンゴ系の香りを出す酵母を |
平成20年 | 長年の研究の末、3種の酵母の開発に成功 秋から県内酒造メーカーに頒布 新酵母で造った清酒が流通 |
平成21年 | 知事により「うつくしま煌酵母」と命名 |
3種類の煌酵母~香りと発酵力に特徴~
C10
- イチゴ・リンゴ系の香りが極めて強い
- 華やかな香りが特徴
- 女性や初めて日本酒を飲む方におすすめ
R50
- 2種類の香りを楽しめる
- 発酵力が強く、辛口の酒に最適
- 日本酒を飲み慣れた方におすすめ
G30
- 香りのバランスが良い
- 高級酒の製造向け
- 上品な清酒がお好みの方におすすめ
福島県産酒造好適米・夢の香蔵元独自の伝統の技と長年培った酒造りの技術を生かし、新たな味と香を求めて
米は、一つの新しい品種を生み出すには約10年の歳月が必要
今では誰もが知っている美味しいお米として有名なササニシキやコシヒカリ。より美味しく、しかも作りやすい米を求めて国の研究機関が開発し、日本全国に広まったこれらの品種ですが、冷害がおきやすい県ではその育苗が難しいという問題も抱えていました。そうした県では、独自の研究開発が進められ、「あきたこまち」など気候風土にあったオリジナル米を生むことになったのです。その点から見れば、福島県は米作りに適した土地であったが故に、独自に開発した米を持っていなかったとも言えるのです。一つの新しい品種を生み出すには約10年の歳月が必要と言われています。品種改良に取り組んだのは、東北では一番最後になりました。
酒造米の品種には県内で作付けの多い「五百米」のほか、全国的には「山田錦」や「八幡錦」など、有名な品種がありましたが、もちろん、福島県独自の品種はありません。しかも、酒米は県内の全水田の1%程度しか作付けされていません。
平成元年に、酒米のほかに一般のうるち品種やもち品種の開発育種目標に加えて水稲の育種をスタートしました。
福島県産の酒造好適米「夢の香」とオリジナル酵母『うつくしま夢酵母』
本当に酒造りに適しているのかどうかは、酒を醸造してみなければ解らないとのだと言われます。生産性はどうか、扱いやすい米なのか、酵母と相性はどうか…。県内最初の新たな酒、それは最高品種「山田錦」には及ばないものの、確かな可能性と将来性を秘めた福島の未来を指し示すような、馥郁たる香に包まれた銘酒が誕生した瞬間でもあったのです。
人々の努力が作り出した、福島県産の酒造好適米「夢の香」とオリジナル酵母「うつくしま夢酵母」、そして豊かな福島の大地が作り出した清冽な水。これらを使って日本酒を醸造するため、次に目が向けられたのは県内にある蔵元の職人たちでした。たとえ、材料が同じであってもそれを扱う人や醸造蔵の特性によって、でき上がった酒はその姿を大きく変えると言われます。
蔵元独自の伝統の技と長年培った酒造りの技術を生かし、新たな味と香を求めて、平成13年、県内の15蔵元では、「夢の香」を使用した初の酒造りが行われました。